こんにちは、ピースケです。
今日は、保護責任者遺棄について考えていこうと思います。
保護責任者遺棄罪
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
刑法 218条
刑法218条によると上記の通りです。
今回は、特に要介護者(老年者、病者)について考えたいと思います。
要介護者を介護せずに放置することが、保護責任者遺棄にあたり3月以上5年以下の懲役になります。
それにより傷害を負わせたり死なせたりすると保護責任者遺棄致死傷罪になり罪が重くなります。
保護責任者遺棄致死罪
保護責任を遺棄し、死亡させてしまった場合は、「保護責任者遺棄致死罪」になります。
法定刑が規定されていませんが、「傷害致死罪」と比較して重い刑になります。
傷害致死罪の罰則は「3年以上20年以下の懲役」なので、
保護責任者遺棄致死罪の罰則は「3年以上20年以下の懲役」となります。
保護責任者遺棄致傷罪
保護責任を遺棄し、傷害を負わせてしまった場合は、「保護責任者遺棄致傷罪」になります。
傷害致傷罪の罰則は、同様に「傷害罪」の罰則と比較して、「3月以上15年以下の懲役」となります。
「介護に疲れていた。死にたい」
保護責任者遺棄事件がありました。
この事件は今のところ「保護責任者遺棄」容疑ということですが、遺棄された方が亡くなっているので、後に「保護責任者遺棄致死」容疑になるかもしれません。
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記事によると、
・ 寝たきりの状態だった78歳男性を自宅に放置したとして、69歳の妻と43歳の息子が逮捕された
・ 保護責任者遺棄の疑いで逮捕されたのは、無職・佐藤みどり容疑者(69)と、息子で会社員の和宏容疑者(43)
・ 2人は車中泊をしながら県内を転々としていた、警察の調べに対して「介護に疲れていた。死にたい」などと、話している
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介護に疲れたら、ここまで追い詰められないといけないのだろうか?
家を空けてから、2日くらいで和彦さんは亡くなったわけで、それまでの期間(結果的に亡くなる直前まで)は介護していたことを考えると、刑は軽くあってほしいと思います。
勝手な憶測ですが、
みどり容疑者と和宏容疑者は、死に場所を探していたのではないのだろうか、父親の死期を悟って心中するような精神状態であったのではないだろうか。
そんな風に追い詰められていったような気がしてなりません。
一方、老老介護の悲惨な事件が後を絶たない中この事件は、43歳で会社員の息子が一緒にいることを考えると、なんとかできたのではないかと思ってしまいます。
父親を路上に置き去り
連続して、保護責任者遺棄事件が起きています。
こちらは、傷害を負ったり亡くなったりしてませんので「保護責任者遺棄」容疑と思われます。
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記事によると、
・ 介護が必要な父親(75)をJR安倍川駅付近に置き去りにしたとして、息子の会社員・細田正行(43)を 保護責任者遺棄の疑いで逮捕した
・ 細田容疑者は料金の支払いを巡るトラブルで、駿河区の老人ホームから父親を引き取りに来ていた
・ 細田容疑者は「遺棄したつもりはない」と容疑を否認している
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この事件の容疑者も43歳の息子です。
偶然ではありますが、
ロスジェネ世代ということを考えると、経済的な困窮も事件の原因であると考えられると思います。
老人ホームの支払いが困難になり追い出されてしまった父親を自分ではどうしようもないと思ってしまったのでしょうか。
個人的考察
2つの事件が立て続けに報じられました。
それぞれ状況が異なりますが、要介護者を個人で支えていくのには自ずと限界があるということを感じます。その限界を超えることで事件化してしまう。
事件化するのは氷山の一角で、限界まではいっていない同様のケースが多数あることは想像に難くない。
感じることは、自分であったら他人に迷惑をかけたくはないと強く思うということです。
ましてや、
自分の家族を路頭に迷わせてしまったり犯罪者にしてしまうことは慚愧に堪えない。絶対に避けなければならない。
そういう状態にならないような支援、援助体制を充実させるということが、まず大切なのは言うまでもないが、少子高齢化、社会保険の崩壊という現状を鑑みると、
即効性、実効性のある安楽死制度の法制化を実現することが求められている。
老老介護、介護離職、介護殺人、保護責任者遺棄…このような事件は増える一方です。
・要介護者を社会全体で支える体制を作る
・安楽死制度の法制化で要介護者をつくらない体制を作る
この2本立てセーフティネットが必ず必要です。
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