こんにちは、ピースケです。
今日は、通行地役権トラブルについて考えていこうと思います。
私道バリケード撤去命令
記事によると、
・ 長崎市青山町の住宅団地内で私道の一部が封鎖されている問題で、
長崎地裁は不動産管理会社にバリケードの撤去を命じた
・ 住民側の弁護士は「安堵した」今後訴訟を起こし解決を目指す方針を示した
…
どうしてこのようなトラブルになってしまったのか?
これまでの経緯はどうだったのでしょうか。
トラブルの経緯
≪バリケードが設置されるまで≫
- 2018年11月 私道部分の土地の所有権が福岡県の不動産管理会社に移った
- 管理会社は長崎市に土地の譲渡を提案するが、条件が合わず取り下げる
- 地元の自治会に土地の買取(3000万円)を持ちかけるも拒否される
- 住民に私道の通行料(車を持つ世帯:月1万円、持たない世帯:月3千円)を要求するも拒否される
- 2019年10月 バリケード設置
管理会社は通行料を求める理由について
「万が一 交通事故が起こると責任問題が浮上する」
「車両の通行で道路が劣化すれば、修繕費がかかるため」としている。
通行地役権とは
通行地役権を青山町のケースにあわせて、簡単に説明しましょう。
通行地役権とは、通行という目的のために設定される地役権のことである(民法第280条)
管理会社所有の私道を通らないと、住民が自分の所有地から公道に出られないので、住民は私道を通行のために利用する権利があるということになります。
同時に管理会社は、住民に私道を通らせる義務があります。
地役権は原則として、両者の契約によって設定します。
この設定契約において地役権の対価(通行料の支払い)が定められるが、法律上は無償の地役権とすることも可能です。
また、地役権を登記しておかないと、私道を購入した第三者に主張することはできないとされています。
このケースでは、地役権の登記はされていないようなのですが、通行地役権は判例からも認められると思われます。
今回、バリケード撤去命令は出ましたが、今後の裁判次第では通行料の支払い、私道の買取等の対処は必要になるのかもしれません。
そもそもの問題点
そもそも家の前の道路が管理会社所有の私道になってしまったのは何故なのか?
管理会社に所有権が移る以前の所有者は、住宅団地の開発業者です。
≪私道の所有者が開発業者のままになるケース≫
- 開発業者が 公道に面した大きな土地(原野や雑種地等)を購入
- 公道につながるように土地を分割し、道路となる部分と宅地として販売する部分に区画割をする
- 宅地部分は個人などに売却される
- 道路部分が開発業者の所有のままになる
このような私道は自治体に譲渡され公道になるケースが大半ですが、古い住宅団地の場合は、私道として残されている場合もあり、
青山町のケースはこれに当てはまります。
購入時のチェック
このようなケースは、古い住宅団地ではよくあることなので、購入時のチェックが欠かせないといえます。
「都市計画法」では、1971年度以降に開発が許可された団地の道路については自治体が原則管理すると定めている。
すなわち団地内の道路は原則公道になるということです。
問題は、1971年より前に作られた団地は対象外なので、私道のまま残っているケースがある可能性があるということです。
古い住宅団地内の物件購入を検討する際は特に注意が必要な項目といえるでしょう。
個人的考察
意外と盲点でした。青山町のようにおおごとになったケースを知りませんでした。
古い住宅団地の開発業者が会社をたたんでしまったりとかで、もしかすると今後このようなケースが増えるのかもしれません。
不動産ですから、トラブルがあっても売却等の対処は難しいです。金額も大きくなるため身動きが取れなくなります。
住宅団地のような広い範囲でなくても、ちょっとした私道というのはどこにでもあります。
購入時のチェックの重要性を再認識しました。